新・人間革命  羽ばたき 三十五 (2930)  正本堂は、横田君雄の基本設計に基づいて、建設が進められることになった。  建設については、複数の建設会社による、ジョイントベンチャー(共同企業体)方式で 行うことが決まった。  正本堂の工事は大規模であり、正確さと最高の技術を要することから、一社ではなく、 秀でた技術と実績をもつ建設会社が、連合して建設にあたるようにしたのである。  また、工事の期間は、作業の安全と工事の完璧を期すため、十分な時間をとり、完成は 一九七二年(昭和四十七年)をめざすことになった。  建設委員会の委員長である山本伸一は、六七年(同四十二年)の八月、日本を代表する 大手建設会社六社の社長ら役員を総本山に招き、正式に施工を依頼した。  この時、伸一が、強く念願したことは、各社が心を合わせて、最高の力を発揮してほし いということであった。  インドの大詩人タゴールは叫んでいる。 「多くの人の仕事の団結が、いままで考えられなかった大きな成果を産み出した」(注) と。団結こそが最大の力を発揮する。  反対に、それぞれが、いかに優れた力をもっていても、自分の分野のことしか考えず、 呼吸が合わなければ、大事業の成就はない。  各社の代表たちも、正本堂という二十世紀を代表する宗教建築の建設に携わることに、 最高の誇りを感じていた。  伸一が、「よろしくお願いします」と言って握手を交わすと、各企業の代表は、「心を 一つにして、歴史に残る大建築にしてまいります」など、口々に決意を披歴した。  その目には、共に歴史を創ろうとの、闘魂が燃え輝いていた。  待望の正本堂建立発願式が挙行されたのは、この六七年(同)の十月十二日のことであ った。  その日は、見事な秋晴れであった。  特設された祭壇の脇には、供養に参加した八百万人の名簿と、後に定礎される世界百三 十五カ国・地域の石が桐箱に納められ、供えられた。  式典は、午前十一時半から盛大に営まれた。  正本堂は、建設の第一歩を踏み出したのだ。  引用文献  注 「協調」(『タゴール著作集』第八巻所収)、森本達雄訳、第三文明社 名字の言 2004.11.19 ▼「通学合宿」という言葉をご存じだろうか。子どもたちが親元を離れ、地域の施設で一 定期間、寝泊まりしながら、学校に登校する取り組み。1983年(昭和58年)に福岡 ・庄内町が5泊6日で行った通学キャンプが発端という ▼合宿期間中、子どもたちは、食事や洗濯などの身の回りのことは自分で行う。少子化時 代である。兄弟姉妹の中で揉まれることも、家事を手伝うことも少なくなっている。共同 生活を通して、子どもたちが自主性や協調性を競うのが目的だ。先月末、通学合宿を実施 した教員は「この活動のねらいは、過保護時代における『親離れ、子離れ』」と語る ▼合宿後の子どもの変化は、「あいさつや手伝いを積極的にするようになった」から「残 念ながら、まったく変わりません」まで、十人十色という。だが、教育の力とは「人格と 人格の触発」であり、その意味で、こうした機会は、学校だけではなく、家庭も地域も 一体″となって教育に取り組むことを考えるうえで意味があろう ▼「社会のための教育」から「教育のための社会」への発想の大転換は、池田名誉会長の 持論である。社会の教育力が低下している今こそ、大人たちの「教育のための社会」への 意識革命が求められている。(川) 北斗七星 2004.11.19 ◆「私が、もし今やっているようなことをやっていなければ、ピカソのように描きたいと 思う」(アンリ・マティス)。「私ほどマティスの作品を注意深く見てきた者はいない」 (パブロ・ピカソ) ◆若き日、法律家を志したように知的なマティス。反対に激しい感情に常に動かされてい たピカソ。生き方も作風も「北極と南極ほどもちがう」(マティス)20世紀を代表する 両巨匠の美術展が晩秋の東京で同時開催(マティス展・国立西洋美術館、ピカソ展・東京 都現代美術館)されている。美術ファンへの格好のプレゼントだ ◆とりわけマティスの大規模展は半世紀余ぶり。その色彩の美しさと装飾性には圧倒され るばかり。同時に作品の変奏(ヴァリエーション)と制作の過程(プロセス)がわかり、 興味深い ◆一見、たやすく描かれているような1枚の絵「エウロペの掠奪」は、3年の歳月と3千 枚のデッサンを要したという。そこにみられるのは可能性へのあくなき挑戦、長い熟慮と 試行錯誤である ◆「私はいつも自分の努力を包みかくそうとつとめてきました。そして、それが労力を要 したことなど誰にも絶対に感づかれないような春の軽やかさと陽気さを私の作品が具える ことを願ってきました」(マティス『画家のノート』) ◆天才は努力の異名。作品の感動とともに持続と挑戦の姿勢を教えられた。 (志) ☆「わが友に贈る」☆ 会合や行事は 事前の準備で決まる。 真剣な祈りと 綿密な打ち合わせで 無事故と大成功を!