新・人間革命  羽ばたき 四十三 (2938)  定礎式から、工事は第二期に入り、建設に拍車がかかった。  一九七〇年(昭和四十五年)三月には、「妙壇」の最初の鉄柱が立てられた。  この年の十月十二日には、上棟式が営まれ、須弥壇の真上にかかる「棟梁」の取り付け が行われた。地上約五十五メートルでの作業であった。  その後の工事の大きな山場は、「妙壇」大屋根の支えを解除する「ジャッキダウン」で あった。 「妙壇」の屋根は東西百十メートル、南北八十二・五メートルもあり、完成時の屋根の重 量は、約二万トンと想定されていた。  その大屋根を吊り上げるのが、自転車の車輪のように、中央リングから楕円形の縁梁に、 放射線状に延びた三十六本の鉄骨である。  この鉄骨の要となる中央リングを、地上約三十メートルの高さで支えてきた仮設構台か ら、ジャッキを使って外す作業が「ジャッキダウン」である。  仮設構台を外せば、中央リングは降下し、それによって柱も動く。もし、これまでの構 造計算に間違いがあれば、どんな事態が生じるかわからなかった。  七一年(同四十六年)六月十七日、遂にその日が来た。  建設現場は、早朝から、ピリピリした空気が流れていた。 問題はない。コンピューターを駆使して計算を重ね、実験に実験を重ねてきたのだ…… ″  担当者には、完璧を尽くしてきた自負があった。しかし、それでも不安は拭えなかった。 新しき挑戦に、「安心」という言葉はないのだ。  中央リングは、十メートル四方の台の上に設置された、十二基のジャッキで支えられて いた。  午前十時五分、作業が開始された。  油圧ポンプを使い、約十分かけ、十二基のジャッキにかかる荷重を均等にしながら、少 しずつ下げていった。  そのたびに、中央リングの降下量、梁の歪み、南北最高部の柱頭の内外への移動量など が計測された。  三十分後に第二回、そのまた三十分後に第三回が行われた。  そして、午後四時五十二分、最後の十一回目のジャッキダウンが行われたのである。 名字の言 2004.11.29 ▼若き日の周恩来総理は、役者としての才能にも富んでいた。中国の名門・南開学校の劇 団で花形の名優だった。男子校だったため、女形に扮して、裏方の大道具係もこなした ▼周青年は、芝居のストーリーを通じて、人民を苦しめる社会の悪を明らかにし、民主的 な正しい思想を伝えようとした。貧しく、学校に通えない庶民にも理解できるように、分 かりやすい芝居で民の智を開いたのである ▼やがて周青年は、筋書きのない革命劇の名優として、20世紀の舞台に躍り出た。新生 中国の総理としても、常に民衆の側に立った。晩年に、四人組の悪と命懸けで戦ったのも、 悪を放置しては、中国が人民のものでなくなるからだ ▼悪への痛烈な怒り。民衆への限りない愛。この精神こそ、周総理の生涯を太く貫く、一 つの主題ではないだろうか。このテーマを基調にした総理の一生は、まさに珠玉の劇の如 く、人々の心に焼き付いた ▼人生には主題がある。いかなる主題を選択するかで、人生という劇は駄作にも名作にも なる。民衆の幸福に尽くし、正義の実現に挑む、創価の舞台ほど、私たちの人生のドラマ を豊かにしてくれるものはない ▼さあ今日も、民衆が勝ち、正義が勝つ、痛快な新しい劇の幕を開けよう。 (人) 北斗七星 2004.11.29 ◆厚生労働省などの発表によると、来春卒業予定の大学生と高校生の就職内定率はそれぞ れ61・3%、38・9%で、前年を上回るという。しかし景気回復への実感はまだ薄く、 厳しい師走になりそうだ ◆中・高校生の進学・受験もこれからが本番。年明け早々から、一段とあわただしさを増 す。とりわけ新潟県中越地震や台風で不自由な生活を強いられている被災地の生徒や家族 の不安を考えると、心が痛む ◆地震発生後数日たったテレビ報道で、中学校の先生が生徒を励ます姿を見た。「大丈夫 よ。みんなの願いを絶対実現させるから。先生も頑張るよ。安心して」。こんな内容だっ ただろうか。抱きかかえるような温かな激励に、子どもたちはどれほど勇気付けられ、奮 い立ったことだろう ◆井上靖の小説に有名な『あすなろ物語』という作品がある。「あすはきっと檜になれる。 絶対になる」と信じ生長していく翌檜(ヒノキ科)になぞらえ、たゆまぬ努力を積み重ね ながら成長しゆく青年の生き様を描いている ◆長岡市などの被災地では仮設住宅への入居も始まった。中学校では勉強の遅れを取り戻 すための補修授業も行われているという。子どもたちには、翌檜のように夢や目標に向か って試練を乗り越え、突き進んでほしい ◆大きく成長しゆく未来の大樹に心から声援を送りたい。ガンバレ。 (康) ☆「わが友に贈る」☆ 悩んでいる時こそ まず唱題だ! 愚痴を言うより 良き同志に相談を! 必ず道は開ける。 ★今週のことば★ 「声仏事を為す」 勇気と確信の声は 心を必ず動かす。 祈りを尽くして 語りに語れ!          11月29日