2006.2.23SP 女子部・婦人部合同協議会での名誉会長のスピーチ〔下〕 ◆◆◆ わが胸中に希望の太陽を ◆◆◆ 信心強き人が幸福       ── 自分らしく! 粘り強く! 最後に勝て!       ── 「今日は新しく生まれ変わる好機(チャンス)」 【名誉会長のスピーチ】  一、今、世界中で、人と人を結び、社会に信頼と友情を広げゆく希望の座談 会が活発に繰り広げられている。先日もうれしいニュースが届いた。  それは、SGI(創価学会インタナショナル)のロシア語の公認通訳である 江口満(えぐちみつる)さんからの報告である。  江口さんは、関西創価学園、創価大学を卒業。哲学博士号を持つ最優秀の方 である。  彼女の報告によると、ヨーロッパの美しき「平和の先進国」ウクライナでも、 わがSGIの座談会が初めて開催されたというのである(大拍手)。〈2月5 日と同11日の2回〉  ウクライナは、ロシア連邦の西隣にあり、南端には黒海(こっかい)が広が る。  南部のクリミア半島は、世界的な保養地としても有名である。 ◆小さな集いに大きな歴史が  一、現在、首都キエフ在住のメンバーは5人。  座談会は、マイナス20度以下の厳寒のなか、メンバーと2人の友人も参加 して、首都キエフで、はつらつと行われた。  小さな集いのようであるが、まことに大きな歴史である。  釈尊も、「鹿野苑(ろくやおん)」において法を説き始めたときは、5人と の語らいから出発した。  日蓮大聖人は、広宣流布の方程式として、「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華 経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかる べし」(御書1360ページ)と仰せである。  「一人」が大切なのである。万波(ばんぱ)の勢いも「一人」からである。  ウクライナSGIの中心者は、創価大学大学院を修了した小林宏紀(ひろき) 君である。私が「名誉博士号」を拝受した「キエフ国立貿易経済大学」で、日 本語を教えている教育者である。  世界中で創価同窓の友が、社会のため、人々の幸福のために、わが使命の道 を厳然と切り開いている。これほど、うれしいことはない。  「いつも本当にご苦労さま!ありがとう!」と、この場を借りて、心から讃 嘆申し上げたい(大拍手)。 ◆◆ 「一人を大切に」「一人から万波が」      ── 世界中で人間共和の"ザダンカイ" ◆女性が活躍!  一、このウクライナSGIでも、女性の活躍が光っている。  キエフ在住の5人のメンバーのうち4人が女性である。それぞれ、グラフィ ックデザイナー、翻訳家、舞台美術専門家、大学教員として、社会の第一線で 素晴らしい貢献をされている。  そして、この4人の女性に仏法を語り、入会に導いたのも、イタリア、フラ ンス、日本の女子部、婦人部の方々なのである。  まさに、世界中いたるところで、創価の女性の幸福と平和のスクラムが広が っている。  ウクライナの座談会では、有名な「日女御前御返事(にちにょごぜごへんじ)」 の一節を拝読し、学び合ったと、うかがった。  「此の御本尊全く余所(よそ)に求る事なかれ・只我れ等衆生の法華経を持 (たも)ちて南無妙法蓮華経と唱うる胸中の肉団におはしますなり、是を九識 心王真如の都(くしきしんのうしんにょのみやこ)とは申すなり」(同124 4ページ)  この究極の「生命尊厳」の法理が、今、地球上のすみずみで、学ばれ、実践 されている。  日蓮大聖人の御聖誕の日である「2月16日」を、広宣流布の拡大の見事な 上げ潮のなかで迎えることができ、これほどの喜びはない。  ウクライナといえば、コステンコ駐日大使ご夫妻とは、私も何度もお会いし、 交友を結ばせていただいている。  コステンコ大使邸は、信濃町の学会本部の近くにあり、ご夫妻はSGIの思 想を深く理解してくださっている。  ある時は、学会本部に喜々として集い来る学会員の姿が、じつに生き生きと していて素晴らしい! ── とご夫妻で口をそろえて語ってくださっていた。 不思議な縁のお二人であられる。  〈コステンコ大使はこうも語っている。  「じつは私たち夫婦は、"幸運の星"のもとに生まれてきたのではないかと 思っています。それは……池田先生のすぐ、お近くに住むという幸運です!」  「近い将来、池田会長、奥様にわが国をぜひご訪問いただき、ウクライナ国 民がお二人に抱いている深い尊敬の気持ちに直接ふれていただけるよう念願い たします」  また、リュドミラ大使夫人も次のように。  「現代の世界に、哲学者と呼ばれる人たちは、たくさんいます。しかし、池 田先生ほど、人類の一番、基礎的な価値である『女性』と『子ども』と『家庭』 に光を当てた哲学者を、私は知りません。これは驚きです!池田先生が、家庭 や女性について語っているのは、単なる哲学ではない。『人々を幸福にするた めの』信仰だと思います。  先生の本を読んで、私は、この地球上に先生のような方がいらっしゃって本 当に良かったと思いました」〉 ◆女子は門を開く  一、日蓮大聖人は、御書のなかで、「男女はきらふべからず」(1360ペ ージ)と述べられ、仏法を弘めゆくうえで男女は一切平等であると宣言してお られる。  700年以上前の時代に、本当にすごいことである。  大聖人は女性の門下を最大に大切にされた。激励の御手紙も、多数、認(し たた)められている。  学会も、女性を大切にしてきたから、ここまで発展した。婦人部・女子部の 皆さまが頑張ってくださったから、世界的に発展したのである。  このことを絶対に忘れてはならない。  大聖人は、門下の四条金吾に娘が生まれたことを喜ばれ、「春の野に華(は な)の開けるが如し」(御書ll10ページ)と仰せである。一家にあって、 娘は、まさしく「春の華」のような存在であるといってよい。  学会にあっても、女子部の皆さんが朗らかで、生き生きと輝いていれば、皆、 大きな希望をもって前進していける。全体が明るく躍動していく。  また大聖人は、「女子は門を開く」(同1566ページ、通解)とも仰せで ある。  女性の活躍が、学会の永遠の「発展の門」を開いていく。「希望の門」を開 いていくのである。  深い使命をもった皆さまである。女子部は全員が尊き宝の存在である。  婦人部をはじめ先輩方は、この女子部の友を、大切に育てていただきたい。 ◆師を守り抜いた  一、私は今、20年先、30年先、50年先のことを考え、さまざまな構想 を進めている。  アメリカ創価大学などの教育機関の充実をはじめ、各国のSGIの発展など、 その構想は多岐(たき)に及んでいる。先の先を考えている。  私は、戸田先生の時代から、わが身のすべてをなげうって、師匠のため、学 会のために働いてきた。戦い抜いてきた。  先生を不当に中傷する者がいれば、ただちに反論した。その非を認めさせる まで、正々堂々と、言論で戦った。  最初は批判していた相手が、あとになって、"戸田城聖は、こんなに立派な 青年を育てているのか。創価学会は伸びるな"と言っていたこともあった。  先生が事業で失敗し、莫大な借金を抱えたときも、私は一人、猛然と働いて 先生を守り抜いた。死力を尽くし、支え抜いた。借金も、すべて返した。  戸田先生は、一面では本当に怖い、厳愛の師匠だった。  弟子を甘やかさない。簡単にほめることなどない。しかし、勇敢なる言論で 悪を打ち破った時には、「大作、悪いな。疲れているのに」と、ねぎらってく ださった。周囲に対しては、「大作を見ろ!」と叱り飛ばした。  先生との師弟の共戦には、本当の人間劇場のドラマがあった。思い出は深い。  厳しい、鋭い人物眼を持った先生が、私を心から信頼してくださった。そし て、「第3代会長を守れば、学会は発展する」と遺言されたのである。  これまでも、口先で偉そうなことを言う人間は大勢いた。学会利用の卑しい 人間も、たくさん見てきた。  しかし私は、事実として学会のために、一切を捧げてきた。戸田先生が亡く なられた後も、残された先生のご家族をお守りした。あらゆる攻撃を受けなが ら、世界広布の道を開いた。  私自身のことではあるが、後世のために、言い残しておきたい。  一、リーダーは、どこまでも会員一人ひとりを大事にしていくことだ。 深い慈悲をもって接していくことだ。  皆のために尽くすのが、リーダーである。組織の上に乗っかって、偉ぶった り、号令だけかけるような人間を許してはならない。  広宣流布のために尽くして迫害され、弾圧された。牢獄へ行った ── これ が学会の三代の会長である。  それを、自分は一切、難を受けることもなく、偉ぶって、同志を苦しめる ── そうした幹部が出たとすれば、それは"魔物"である。恐ろしいことである。 そうした人間に対しては、女性が声をあげ、断固として戦ってもらいたい。 ◆◆◆ 青春の労苦は最高の宝! ◆◆ 理想へ闘ったナイチンゲールと弟子たち ◆≪教え子たちの心≫     ── 偉大な師と歩む人生は世間の誰よりも幸せです ◆師弟の前進  一、戸田先生は、女子部に対して、よくナイチンゲールの話をされた。  きょうも、「白樺グループ」の代表が出席されている。  感謝を込めて、少々、ナイチンゲールとその弟子の話をさせていただきたい (大拍手)。  ナイチンゲールが始めた看護の近代化という改革を現場で実践し、広げてい ったのは、ナイチンゲールの教え子たちであった。その多くは、比較的恵まれ た家庭に育った女性であった。  今と違って、看護の仕事が極めて低く見られていた時代である。  しかし、彼女たちは、ナイチンゲールの理想に共鳴し、ナイチンゲールが創 立した看護学校に、勇んで志願し、看護の世界に飛び込んでいったのである。  師であるナイチンゲールと同じく、当初、彼女たちには、高慢で偏見に満ち た人間からのいやがらせや圧迫が絶えなかった。彼女たちは一つ つ、ナイチ ンゲールに報告した。  ナイチンゲールもまた、大切な教え子たちに、励ましやアドバイスを惜しま なかった。  彼女たちは、ナイチンゲールに見守られるなか、希望に燃えて、誠実に、粘 り強く、看護の改革を成し遂げていったのである。 ◆私は絶望しない  一、教え子の一人は、ナイチンゲールに、こう手紙を書き送っている。  「難儀なことはいっぱい、いろいろとありますが、けっして絶望はしません」 「世間のどんな人と比べてみても、今の私はしあわせなように思っています」 (Z・コープ著・三輪卓爾訳『ナイチンゲールと六人の弟子』医学書院。以下、 引用は同書から)  偉大な師の弟子として、尊き信念に生き抜く青春は、いかに苦労が多くとも、 何ものにもかえがたい喜びと誇りにあふれていた。 ◆先輩は後輩を大切に!  一、ナイチンゲールのもとで訓練を受けた教え子たちの姿は、周囲にすがす がしい感動を広げた。  教え子たちを讃える手紙や声は、師であるナイチンゲールのもとにも寄せら れた。  「(あなたの弟子の一人は)あなたのお名まえで知られている管理システム の実践を真剣に心がけておられる」  「(最初、あなたの教え子たちを迎えて看護の改革を行うことに、病院内で は)反対の声をあげるむきもありましたが、今では改善を進めるために仲よく 協力してゆく気持ちに変わってきていると思っています」等々。  一人の女性が光れば、すべてが変わっていく。  うれしいことに、私のもとにも、連日、女子部の方々の素晴らしい人柄と振 る舞いに、感嘆の声が寄せられている。  さらにまた、ナイチンゲールへの手紙の中には、教え子たちを非難し、排除 しようとして騒いだ人間が、もともと「騒動を起こすくせのある人物」であり、 「信頼のおける見解の持ち主でない」こと、そしてまた、教え子の「すぐれた 性格を理解する能力がない連中」にすぎないと見破った公正な声も綴られてい た。  ナイチンゲールの弟子たちは、互いに麗(うるわ)しく励まし合った。  けなげに頑張っている仲間や、病に苦しむ仲間などがいれば、その様子を、 師であるナイチンゲールに報告し合った。  また、先盟が後輩を大切にした。  ある先輩は、一人の後輩を讃えて、ナイチンゲールにこう書き送っている。  「(後輩が)いてくれたのは大きなプラスになりました。頭も気だてもよく て明るいと、あんなに三拍子そろった人は、まずこれまで見たことがありませ ん」  大きな心で後輩を讃えていける人が、人間としても、先輩としても立派なの である。 ◆「あの先輩がいたからこそ」  一、ナイチンゲールの一人の弟子が、看護の現場で、理想と現実のギャップ に悩み、くじけそうになったことがある。  しかし、彼女は再び立ち上がった。真剣に奮闘する先輩の姿に心を打たれた からである。  その後輩は、ナイチンゲールに勇んで書き綴っている。  「(私は)きっぱり看護婦の仕事をやめてしまう気になっていた矢先に、(先 輩の)プリングルさんの病棟に転勤になったのです。  ここでは万事違っていました。私は彼女を自分のお手本にしました」  「(彼女には)うわべだけの奉仕は見られません。プリングルさんには自己 本位のところがなく、あるのは周到なまでの良心だけ、この人の病棟には外科 医も看護助手も患者も見習い生も、すべての人を彼女が引き上げているという 一種のムードがありました。  彼女の経験の前には外科医さえ、患者についての助言を求めるほどでした。  そこで私も永久にこの仕事をつづけたい、と思いなおしたのです」  わが女子部の創価姉妹の世界も、麗しい友情と励ましと触発に満ちあふれて いる。 ◆土台を築く今が一番大切な時!  一、御聖訓には、「たとえ、ふがいない者であっても、助ける者が強ければ 倒れない。少し強い者でも、独りであれば、悪い道では倒れてしまう」(御書 1468ページ、通解)と仰せである。  そして「仏に成る道は、善知識にまさるものはない」(同ページ、通解)と 結論されている。  どうか、女子部の皆さん方も、互いに最高の「善知識」となって、先輩は後 輩を慈しみ、後輩は良き先輩に何でも相談しながら、異体同心の理想の前進を 進めていっていただきたい。  ここで、ナイチンゲールの言葉を贈りたい。  「後半生に向かってその土台を築きつつある今こそ、私たちの人生にとって まさにいちばん大切な時なのです」(湯槇ます・小玉香津子・薄井坦子・鳥海 美恵子・小南吉彦訳「看護婦と見習生への書簡」、『ナイチンゲール著作集第 3巻』所収、現代社)  そして、ナイチンゲールは断言している。  「この世界をも変えることのできるもの、それはあくまで自分が模範を示す ことなのです」(同)すべてが、自分自身の「人間革命」から始まる。  人がどうあれ、周りがどうあれ、自分自身が、生き生きと、伸び伸びと、さ わやかに成長していけば、そこから、一切は開けていくのである。 ◆◆ 人材を見つけよう! ◆≪モンゴメリ≫「どんな人にも必ず良い所があるわ」 ◆「開かれた心」で  一、先日、ボストン21世紀センターのヨコタ代表が、カナダのプリンス・ エドワード島大学で学長を務めたエリザベス・エパリー博士から寄せられた声 を、報告してくれた。  エパリー博士は、小説『赤毛のアン』で有名な女性作家であるモンゴメリ研 究の第一人者で、モンゴメリ研究所の創設者であられる。  博士は、物語の主人公の「アン」について、こう語っておられた。  「アンは、すべての人から、それぞれが持つ最良の価値を引き出すことので きる"開かれた心"を持っていました。  その"開かれた心"ゆえに、人々の"閉ざされた心"を開くことができたの です。  ゆえに、池田SGI会長が言われるように"開かれた心"による"開かれた 対話"こそが、大切なのです」  では、『赤毛のアン』の物語が、なぜ、世界の多くの人々に愛され、今なお 読み継がれているのか。  博士は、その理由を、こう洞察しておられた。  「それは、物語の中に『希望』というメッセージがあるからです。  そして、その『希望』とは、"何があっても希望を失わない"という意味の 希望です。  その意味で、人生に失望するということは、大きな"悪"であるとさえ言え るのです。  希望とは、"心の闇"と戦い続けることでもあるのです」  そして、博士は、こうした洞察を通して、「『赤毛のアン』をはじめとする モンゴメリの作品の底流にある思想は、実は大変に仏法的なのです」とも、述 べておられたという。  まさしく、仏法は「希望の哲学」であり、「幸福の哲学」である。  わが女子部は、この究極の"希望の炎"を赤々と燃え上がらせながら、「ア ン」のごとく朗らかに、そして愉快に、新たな友情と対話の輪を広げていって いただきたい。 ◆◆◆ 〔女性の声〕に勝るものなし ◆≪モンゴメリ≫「私の何かが不正に黙っていられない」 ◆「とことんまで私は闘う!」  一、ところで、モンゴメリの著書を発刊していた出版社が、彼女を欺(あざ む)き、その作品によって不当な利益を得ようとしたことがあった。  出版社側は、著書の出版をめぐる契約について不当な主張を行い、それを承 諾しなければ裁判に訴えると脅しをかけてきた。  裁判には、多大な費用がかかる。こうして脅せは、モンゴメリは引き下がる だろう ── その本質には、女性を見下した傲慢があったに違いない。  しかし、不正な要求と権利の侵害に対して、モンゴメリは決然と立ち上がる。  法廷では、相手が卑劣な嘘の証言を行ったこともあった。しかし、彼女は断 固として「真実」を訴え、困難な法廷闘争を戦い抜いた。  モンゴメリは綴っている。  「わたしのなかの何かが、不正とごまかしに対し黙ってはいられない」(メ アリー・ルビオ、エリザヘスウォーターストーン著、槙朝子訳『〈赤毛のアン〉 の素顔L・M・モンゴメリー』ほるぷ出版)  「わたしは闘争心を盛り上けて、彼らのおどしなどには目もくれず、とこと んまで闘う決意をしたのです」  「降参するつもりなど全くありませんでした」  「わたしたちは前進を続けたのです」  「わたしは真実を話していましたし、恐れずに話しましたので、彼はわたし に打ち勝つことはできなかったのです」(宮武潤三・宮武順子共訳『モンゴメ リ書簡集1』篠崎書林)  闘争は、およそ10年間にわたり、断続的に続いた。そして、悪質な脅しや、 卑劣な嘘の証言をはね返して、見事、勝利の判決を勝ち取ったのである。  不正や嘘に対して、黙っていてはいけない。女性だからといって遠慮する必 要はない。  大切なのは、勇気をもって戦うことだ。正義の声をあけることだ。それが、 時代を変える原動力となるのである。 ◆本当の幸福とは  一、ここで、モンゴメリの著作から、わが女子部の皆さま方に、幾つかの箴 言(しんげん)を贈りたい。  彼女は、ある小説で登場人物に語らせている。  「私は地位も富も権力も手に入れた。だがね、そんなの成功とは言えないん だよ」「どれもこれも、大きな子供の玩具だよ。そんなものでは、魂は満たさ れない」(いぬいななこ訳「帰郷」、『時の果実』所収、篠崎書林)  地位や富や権力は、はかない。簡単に消えてしまうものである。また、これ らを手にしたからといって、本当の幸福を得られるとは限らない。  むしろ、虚栄や虚飾(きょしょく)にとらわれて、不幸の人生へと落ちてい く場合もある。信頼できる友人もなく、さびしい人生を送る人もいる。  一、御聖訓には、厳然と仰せである。 「蔵の財(たから)よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり」(御 書l173ページ)  もちろん、豊かになり、社会的に活躍していくことも重要であろう。しかし、 何よりも大切なのは「心」である。そして「信心」である。  大聖人は、「ただ心こそ大切なれ」(同1192ページ)と仰せである。  どんな立場になっても、友のため、人々の幸福のため、広宣流布のために生 き抜いていく。  何があっても、学会とともに、同志とともに歩み抜いていく。  そう決めて進む「心」に、無量の福徳が薫(かお)っていくのである。幸福 の人生が爛漫(らんまん)と花開いていくのである。 ◆包容力ある人に  一、また、モンゴメリは綴っている。  「どんな人の人生にも憂欝(ゆううつ)と落胆の日々があるだろう。そんな とき、人生の何もかもがつまらなく思えるのだ。  晴れ渡った日にも雲はある。けれど、いつでも空に太陽があるということを 忘れてはいけない」(桂宥子訳『モンゴメリ日記愛、その光と影』立風書房)  「冬のあとには、私たちを悲しませない次の人生の春がくる」(同)  最高の青春の道を歩みゆく皆さんは、わが胸中に妙法という「希望の太陽」 が、厳然と輝いていることを忘れてはならない。  必ず「希望の春」が来ることを忘れてはならない。  モンゴメリは、こうも記している。  「これまでわたしが経験した困難や、いろいろな事に際して徹底的に苦痛を 味わったおかげで、他の人々の失敗や苦闘や試練に対して、(中略)ずっと思 いやりを持つようになりました」(前掲『モンゴメリ書簡集1』)  今は、苦労も多いかもしれない。思い通りにならないことばかりかもしれな い。  しかし、若き日の苦労は最高の宝である。すべてが、自分を強く、大きくす る糧となっていく。  多くの人々を包み込んでいくための力となっていく。  また、必ず、そうしていけるのが仏法である。 ◆長所を伸ばす  一、さらに彼女は小説のなかで、主人公のアンに、こう語らせている。  「どんな子にも何かしらいいところがあるのよ」「教師のつとめは、その長 所を見つけて、伸ばしてあげることよ」(松本侑子訳『アンの青春』集英社)  人材育成において大切なのは、一人ひとりの長所を見つけ、それをほめ讃え ていくことだ。伸ばしていくことである。  『アンの青春』のなかで、アンが歌う詩の一節に、こうあった。  「朝ごとに、すべては新しく始まり   朝ごとに、世界は新しく生まれ変わる」(同)  また、この詩の続きには、「今日は新しく生まれ変わる好機」とある(同、 訳注から)。  どうか皆さまは、同志とともに、一日また一日、生まれ変わっていくように、 新鮮な息吹で前進していただきたい。  人と比較する必要はない。あくまでも、自分らしく、粘り強く進めばよい。  また、途中の姿で一喜一憂することはない。最後に勝てばよいのである。そ して、絶対に勝っていけるのが、妙法である。  一、大聖人は仰せである。  「(法華経の行者が)法華経を受持する所を『当詣道場』(とうけいどうじ ょう=道場〈悟りの場所〉に至ること)というのである。この娑婆世界を去っ て、極楽浄土等の他の国土へ行くことではない」(御書781ページ、通解)  仏法では「本有常住常寂光土(ほんぬじょうじゅう・じょうじゃっこうど)」 と説く。  今いる使命の舞台で、最高の勝利者となり、最高の幸福者となっていくこと ができる。そして、一家も、地域も、すべてを生き生きと変革していけるので ある。  幸福は、自分自身で決まる。自分の心で決まる。  強い心を持てば、景色が一変する。何を見ても違って見える。強くあること が幸福なのだ。  何ものにも侵されない強い生命へと磨き抜き、鍛え抜いていくのが、この信 心なのである。 ◆わが生命に幸福の宮殿が  一、まもなく、待望の「創価女子会館」が信濃町に誕生する。会館の壮麗な 全容も見え始めた。  このほど、女子部の皆さまの強い要請にこたえて、私の妻が、同会館の「名 誉館長」に就任することが決まった(大拍手)。  わが女子部の新たな宝城(ほうじょう)の誕生を、私も妻も、何よりも楽し みにしている。皆さんが思う存分に活動できるよう、私たち夫婦は、これから も全力で応援していく決意である。  御義口伝には、「南無妙法蓮華経と唱え奉るは自身の宮殿に入るなり」(同 787ページ)と説かれている。  妙法を唱え、広宣流布に生きゆくことは、わが生命に、また友の生命に、金 剛不壊(こんごうふえ)の「幸福の宮殿」を輝かせていくことである。  どうか、希望あふれる女子会館の建設の槌音(つちおと)とともに、はつら つと、堂々と、わが宮殿を荘厳していってもらいたい。  ともあれ、女子部の輝かしき朗らかな前進が、確かなる広宣流布の前進だ。  わが女子部の皆さんは、全員が一人ももれなく、「健康博士」たれ!  「幸福博士」たれ!「勝利博士」たれ! ── 妻とともに、そう心から念願 して、記念のスピーチとさせていただきたい。  どうかお父さん、お母さんにも、よろしくお伝えください!  きょうは、本当にありがとう!(大拍手)            (2006・2・14) ************************************************************ ※ナイチンゲールとモンゴメリの写真は『世界伝記大事典』ほるぷ出版から。