新・人間革命  前進 四十五 (3323)  山本伸一は、悪徳商社による買い占め、異常な物価上昇、中小企業の倒産、経済苦によ る一家心中などをあげ、日本社会は完全に行き詰まりの様相を呈していることを語った。  そして、この混乱は、経済の繁栄にのみ心を向け、他の一切を切り捨ててきたことにあ ると、その要因に迫り、事態を打開する方途に言及していった。 「今こそ日本は、人間とは何か″人間いかに生きるべきか″世界の人びとに対して 日本は何をなしうるか″といった基本的な問題から問い直して、進むべき道を切り開いて いかなければならない」  さらに、日本をかくも混迷させ、エゴの衝突の坩堝と化した社会をつくり上げてしまっ た元凶は、生命の一念の狂いにあることを指摘。指導者をはじめ、人間一人ひとりの一念 の転換の必要性を、声を大にして訴えたのである。  フランスの文豪ロマン・ロランは叫んだ。 「最大の悪は自己更新への怠惰である」(注)  まさしく人間自身の一念を変革せずしては、時代の建設はない。生命の魔性を断ずる、 仏法による人間革命なくしては、社会の繁栄はありえないのだ。  伸一は言葉をついだ。 「日蓮大聖人は、かの『立正安国論』で、『国土乱れん時は先ず鬼神乱る鬼神乱るるが故 に万民乱る』(御書一九ページ)との経文を引かれ、社会の混乱の原因を論じられていま す。この文は、現代社会の本質を見事に突いております。  ここでいう『鬼神』とは悪鬼であり、『鬼とは命を奪う者にして奪功徳者と云うなり』 (同七四九ページ)とあるように、生命自体を破壊し、福運を奪う、『人間の内なる作用』 であります。  現代的に表現すれば、『生命の魔性』の意味であり、人間が完全にエゴにとらわれ切っ ていく、その本質を『鬼神』と表現したと思われる。  この人間のもつ生命の魔性の跳梁が、『鬼神乱る』ということになるのであります」  社会の混乱の根底に何があるのかを、生命の法理のうえから明らかにする伸一の講演に、 参加者は目から鱗の落ちる思いがしてならなかった。  引用文献  注 「先駆者たち」(『ロマン・ロラン全集18』所収)山口三夫訳、みすず書房 名字の言 2006.4.6 ▼気象庁は先月28日、台風の予想進路などの見通しを分かりやすくするため、台風の表 示の方法を、変更することを決めた ▼主な変更点は、台風の進むコースや、上陸の時期、特に警戒が必要な地域を分かりやす く表示するようにしたこと。確かに気象現象の予測は、科学の発達によって精度が上がっ ている。が、もっと大切なことは、市民がそれを分かりやすく理解できるかどうかだ ▼災害が起きると、メディアはさまざまなデータを伝える。しかし、そうした数字やデー タを、身に迫った危機として読みとることができるのは、一部の専門家だけ。とりわけ自 然災害に弱い中山間地域は、お年寄りが多く、情報を避難へと結びつけることが難しくな っている。2004年7月の新潟豪雨でも、犠牲者の76%が65歳以上の高齢者であっ た ▼日本列島に台風が上陸する可能性が高いのは6〜11月。平均気温が高くなっており、 台風が来襲する期間も長くなる傾向だ。災害に対する「自身の備え」「地域の備え」「公 的機関の備え」が揃って、被害は食い止められる ▼自然災害は天災と呼ばれてきたが、被害の要因には人災の部分が少なくない。人間自身 の変革から、人命第一の社会を確立していかなくてはならない。  (佳) 北斗七星 2006.4.6 ◆春4月、桜前線の北上とともに、各地の小学校で新入生のはずんだ声が聞こえる。全国 一人口の少ない60万余の鳥取県でも、4月10日、約5500人の新1年生が生まれる ◆少子化時代だけに余計に、「強く優しい子どもに育ってほしい」と願う。ただ子育てを 学校や塾任せにしていないか、と考えると少々後ろめたさを感じる ◆臨床心理学者の河合隼雄さんは、こう指摘する。物が豊かでない時は、物を分け合う喜 びや困難さを体験し親と子、子ども同士が触れ合いながら成長することができた。しかし 物が豊富な今は、心を使う代わりにお金を使って、子育てをしようとしていないだろうか と ◆確かに子育ては足し算や引き算式のように機械的になせるものではないし、お金を出し てできるというものでもない。学力だけでなく、人間として強く生きる力や勇気、命の大 切さをどう身に付けさせていくかが、大きな課題だ ◆今年は戌(犬)年。英語読みにすればドッグイヤーとなる。犬が人間の7倍の速さで年 をとるように、IT(情報技術)時代の1年は、7年のスピードで進むといわれている。 しかし世の中がいかにIT化されようと、心と心を通わせる人づくりの原点を、忘れては ならない。大事なのは「心こそ」である ◆日本の未来を担う子どもたちのために、時間と心を費やしていこう。(康) ☆「わが友に贈る」☆ 今いる場所で いなくては ならない人に! 新時代を勝ち抜け! ―4月6日―