2006.5.16SP ――――――――――――――――――――――――――――――――――      SGI会長 ロシアのロシェコフ大使と会談 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◆◆ 世界は出会いに満ちている 青年よ新しき友情を広げよ! ◆◆◆ 人と人を結べ! それが指導者の使命    ◆◆≪SGI会長≫ 外交は平和と発展の力     ◆≪ロシュコフ大使≫ 哲学なくして外交なし ――――――――――――――――――――――――――――――――  池田SGI(創価学会インタナショナル)会長は12日、ロシア連邦のアレ クサンドル・ロシュコフ駐日大使と東京・信濃町の聖教新聞本社で会談。今年 7月に初の議長国としてサンクトペテルブルク・サミット(主要国首脳会議) を開催するロシアとの文化・教育・青年の交流等を展望した。これにはミハイ ル・ガルージン公使、ユーリー・ユーリエフ1等書記官らが同席した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 【池田SGl会長】 お待ちしておりました!  ご多忙のところ、心から感謝します。 【ロシュコフ大使】 池田会長は、とってもお元気そうですね!うれしいです。           ◇   ── ロシュコフ大使は62歳。モスクワ国立国際関係大学を卒業し、外交 官としてアフガニスタンへ。ニュージーランド、オーストラリアなどの大使を 歴任した。  ロシア外務省でアジア太平洋地域局長、官房局長、外務次官などの要職を務 めてきた。  この間、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核開発問題をめぐる6力国協 議のロシア首席代表も。プーチン大統領の特使として平壌(ピョンヤン)を訪 れ、金正日(キムジョンイル)総書記と会談した。  2004年3月、駐日大使として日本へ。  この年の10月、ロシア政府がSGI会長に「文化交流感謝状」を授与。そ の際、大使は、モスクワ大学のサドーヴニチィ総長とともにSGI会長と語り 合っている。  今回、同行したガルージン公使は、1982年から83年に創価大学に留学。 創立者のSGI会長は「ご活躍が本当にうれしい」と再会を喜んだ。           ◇ 【会長】 きょうは、ぜひ、大使の「哲学」をうかがいたい。将来の世界の友 好のためにも、大切な財産になると思うからです。 【大使】 「外交」が私の専門分野です。それに関しては、自分なりの考え方、 思想があります。お話しできるのをうれしく思います。  外交の最も重要な課題とは何か。  それは、国と国の間、人と人の間に、相互の理解を深めていくことです。  国と国、人と人が出あえば、どんな場合でも、必ず、何らかの問題が起きる ものです。その問題を取りのぞき、解決へ向けて努力するのが、外交の本義で す。 【会長】 その通りです。また、そうあらねばなりません。 【大使】 「外交」を別の言葉で言えば、どうなるか。「外交」は「通訳」に 似ているかもしれません。  外交官は、他の国の言葉を理解し、人々の心を理解し、自分の国とは異なる 社会の伝統や、ものの考え方を理解する。それを自国の人々にわかるように説 明していく。  それによって、将来、異なる文化、異なる人々の間に起こるであろう問題を 予測し、より解決しやすい方向にもっていくのです。 【会長】 外交が平和をつくります。戦争を排除していける。  国が発展するにも、外交の力が大きい。広く言えば、日ごろの近所づきあい も外交です。商売も外交でしょう。  外交がうまくいけば、一家も栄え、会社も向上していけます。  反対に、外交が行き詰まれば、最後は破滅です。向上の道が閉ざされてしま う。 【大使】 まったく、その通りだと思います。  私たちの外交用語に、「内側の外交」という言葉があります。  一般に、外交とは、外に、他国に向けられたものです。「内側の外交」とは、 一国の中で、たとえば、会社と会社、特定の人々同士の間に、いかなる関係を 築いていくか ── これを外交ととらえるのです。 【会長】 人間として一番賢明な関係をつくりあげていくことですね。  それが最も民主的で、最も人間的な行為です。 【大使】 まさに、そのような外交ができる人間を育てるために、外交官を養 成する専門の学校があるのだと思います。  昨日、私は、大変興味深い記事を読みました。           ◇   ── ここで大使が、背広の内ポケットから取りだしたのは、1枚の新聞の 切り抜き。  5月11日付の「ジャパンタイムズ」に掲載されたSGI会長の寄稿だった。 同紙は日本を代表する英字紙である。寄稿では、"戦争とは外交の失敗"との 歴史家の言に触れ、民衆交流の重要性などを論じている。           ◇ 【会長】 おー! ありがとうございます。 【大使】 大きな関心をもって読ませていただきました。  なかでも、"教育は、人々を善の方向へ向けることもできれば、破滅の方向 に向けることもありうる"との指摘は重要です。  これまで人類の歴史には、高い知識をもちながら、悪事を働いた人間が数多 くいました。  しかも、もてる知識の力が大きければ大きいほど、悪の破壊力もまた大きか ったのです。 【会長】 残念ながら、人類は、そうした歴史を繰り返しています。  その原因の一つは、人間対人間の外交においても、国家と国家の外交におい ても、すべてにわたって、真実の「平和への外交」がなかったからではないで しょうか。  どうしても、利害やエゴイズムが外交の中心となってしまった。 【大使】 外交は、目的を達成する手段であると、私は思います。  ですから、確固たる哲学がなければ、本当の外交はできません。 【会長】 何のための外交か ── 本質を突いた言葉です。  私の恩師・戸田第2代会長は大教育者であり、大指導者でした。  その恩師が手厳しく、こう語っておりました。  「外交をやっていない人間を、重要な立場につけてはいけない。学会の幹部 にしてはいけない。これは、すべてにわたる方程式だ」 【大使】 そうした意味でも、外交というものを使いこなすには、人間として の「哲学」をもつことが何より重要です。  その哲学を、池田会長はもっておられる。教えておられる。  会長の哲学は、私たちの心に染みる深いものです。近しいものであり、重要 なものです。  もちろん、私は会長が伝えようとされている哲学の全容を知っているわけで はありません。  しかし、これまで会長の著作を読み、お話をうかがい、私が見聞してきたこ とは、すべて納得できることでした。 【会長】 深く温かいご理解に心から感謝します。 ◆友好の新史を           ◇   ── 会談談では、大使の就任以来、日本各地で行われてきた日露交流の諸 行事も話題に。  昨年4月、静岡・下田で、日露通好条約150周年の記念式典が行われ、大 使が出席。  また5月は、日露戦争の日本海海戦から100年の節目であり、大使は長崎・ 対馬での日露合同慰霊祭に出席した。  今年2月には、江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛(たかだやかへえ)ゆかりの 兵庫へ。  高田屋嘉兵衛(1769?1827年)は北海道などで海運業を営んだ。ロシ ア船に捕らえられたのをきっかけに、日露交渉に力を尽くし、優れた手腕を発 揮した。  大使は、「兵庫県日本ロシア協会のお招きで訪れました。生誕地である淡路 島の五色(ごしき)町まで足を延ばし、植樹もさせていただきました」と懐か しく振り返った。  さらに、昨年11月にはプーチン大統領が来日。新たな友好の歴史を刻んだ。 大使は、大統領の人間像について、「とても気さくな人です。人と会う時の気 配りが細かい。記憶力が非常にいい。そして信念の人です」と。  大使は、次のようなエピソードを紹介した。  「かつて、プーチン大統領があまり専門的に知らない問題について、私が説 明する機会がありました。大統領は、その本質をすばやく理解し、自分の考え を固めたようでした。後に政治環境が変化しても、大統領の考えは一貫して変 わりませんでした。そうした点にもリーダーとしての資質が現れています」と 語った。           ◇ 【会長】 今、ロシアの人々の目に、日本はどのように映っていますか。 【大使】 ここ数年で、ロシア国民の日本に対する関心は大変高まっています。 日本文化への関心、伝統的なものに対する憧れがあります。  ロシアを訪れる日本人観光客も増えています。  ソ連邦の崩壊後、ロシアの人々は、ヨーロッパや南の国々へ多く訪れました が、最近は日本へ行く人も多くなってきました。  私は最近、日本人とロシア人の新しい関係を発見しました。  それは、日本人とロシア人は、互いに正反対のものを持っているということ です。  ロシア人がどうしてもうまくできないことを、日本人は非常に上手にやるこ とができる。  また逆に、日本人がうまくできないことで、ロシア人が上手にできることが ある。  したがって、違う者同士が一緒に仕事をすると非常にうまくいく ── こう いう論理になります。  こうした、自分なりの体験上の論理から考えて、今後の両国の可能性は、非 常に大きいといえると思います。  しかし「可能性」は大きいのですが、まだ「行動」が足りないのです。 ◆ショーロホフとの思い出 【会長】 非常に強く共感します。その通りだと思います。  私は、貴国を6度訪問しました。  すべて、楽しく、意義ある思い出ばかりです。  私が初めて大学の名誉博士号を授与されたのは、モスクワ大学からです。同 大学の総長室でのことでした(1975年5月)。  また、ノーベル賞作家のショーロホフ先生との出会いも忘れられません(7 4年9月)。  当時、ショーロホフ先生は、療養中にもかかわらず、はるばる故郷の村から モスクワに戻ってこられた。  大文豪の自室で、兄弟のような、親子のような気持ちで迎えていただきまし た。  『静かなドン』『人間の運命』などの作品は、どういう発想から書き始めら れたのか。何を後世に残そうとされたのか。  このような問いを念頭に置いて、私も苦手なコニャックを少々いただき、真 っ赤になりながら語り合いました(笑い)。  憧れの人との出会いであり、一生涯の忘れ得ぬ思い出です。  『静かなドン』では、内戦に翻弄(ほんろう)されるコサックたちの、悲劇 的な運命が描かれています。  悲惨な戦争を二度と繰り返してはならない ── 語らいを通じて、文豪の心 情が伝わりました。今も私の心に深く刻まれています。 【大使】 非常に重要な教訓です。  ショーロホフの作品に書かれている教訓を、人類は、やっと理解し始めたの ではないでしょうか。 ◆人間の往来(おうらい)こそ 【会長】 日露関係は、この150年間で最も良好な時代と言われています。  2005年の両国の貿易高は、初めて100億ドルを超えました。  「経済の往来」が盛んです。  ただ、両国間の「人間の往来」、特に、学生・青年の往来が、まだまだ少な い。  昨年11月の日露首脳会談では、日露間の人的交流を、今後3年間で3倍に 増やすことを目指す点で一致しました。すなわち、1年間で約40万人にしよ うと。一つの重要な歴史です。  また、貴国は文化・芸術の大国であり、日本が貴国から受けた恩恵は、はか り知れません。  トルストイをはじめ、貴国の大文学は、日本の近代文学に影響を与えたのみ ならず、多くの人々に、深い啓発の光を送りました。  また、日本で初めて本格的にバレエを普及させたのは、1920年ごろに来 日した貴国のエリアナ・パブロワでした。  第2次世界大戦後、58年にはモスクワ芸術座が日本を訪れ、大きな反響を 広げました。  貴国の大恩に感謝を捧げつつ、民音では、数多くの音楽家を日本に招聘(し ょうへい)してきました。  本年9月にも、ロシア民族歌舞団を招聘する予定です。  私たちは、さらに貴国との文化と教育の交流に尽くしてまいりたい。 【大使】 会長のお考えに共感します。  今、ロシアと日本が最も良好な関係にあるという事実は、ご指摘の通りです。  貿易関係も、現在のレベルに達したのは、今までになかったことです。  ただし、プロの外交官の目で見ると、現在の状態は、なお満足できる状態で はありません。  まだまだ、できることがあります。  政治のレベルで解決せねばならない問題が、まだ残されています。  露日の関係が、アジア全体に影を落としていると言わざるを得ません。  外交官としては、政治的問題が未解決であるという現実に、心を痛めていま す。  露日の問題は、単に露日間だけの問題にはとどまりません。アジア全体の問 題として懸念しているのです。 ◆◆ SGI会長       ── 43年前、モスクワでの世界首脳会議を提唱       ── 7月 ロシア初のサミット成功を期待 ◆新たな人類の英知をロシアから           ◇   ── 次いで、本年7月にサンクトペテルブルクで開かれるG8サミット(主 要国首脳会議)が話題に。  今回、ロシアは1998年に正式に会議に加わって以来、はじめて議長国を 務める。  今年3月、プーチン大統領は「サンクトペテルブルク・サミットに向かうG 8 ── 挑戦、可能性、責任」と題する論文を発表し、エネルギー安全保障な どでリーダーシップを発揮していく決意を語っている。  SGI会長は63年、女子部幹部会(早稲田大学の記念会堂)で世界首脳会 議を提唱。その後、「SGIの日」記念提言などで、繰り返し、世界の指導者 間対話の枠組みづくりを訴えてきた。           ◇ 【会長】 63年に世界首脳会議を提唱した時、会場の候補の一つとして挙げ たのが貴国のモスクワでした。当時は冷戦の最中でしたが、私は貴国を重視し、 貴国との友好を念願していたのです。  歴史的なサミットを私は最大に喜んでいます。 大成功を心から祈っています。 【大使】 ありがとうございます。今回の議題は重要なものばかりです。必ず 成功させたいと思っています。 【会長】 歴史上、ロシアは、つねに雄々しく、新しい人類貢献の道を開いて きました。  宇宙への扉を開いたのも貴国です。61年、ガガーリンが人類初の宇宙飛行 を行いました。  そして、20世紀の世界を動かした平和思想の淵源(えんげん)の一つは、 貴国の文豪トルストイです。  トルストイの絶対平和の思想は、インドのガンジー、アメリカのM・L・キ ング博士などにも影響を与えました。  私がお会いした南アフリカのマンデラ大統領も、獄中でトルストイを熟読し ていました。  トルストイは叫びました。  「世界に英知がなければ、矛盾は克服できない。その英知は、人間自身の中 にある」  貴国が軸となって、21世紀の新たな人類の英知が結集されゆくことを期待 しています。 【大使】 今はG8の国々と連携し、全力で準備を進めているところです。日 本は「省エネルギー」に関して大変に進んでおり、この分野でも、積極的な役 割を果たしていただけると期待しております。  環境に配慮しながら、限りある資源をいかに有効に活用していくか。これが 人類の一番の課題です。 ◆他者尊重の心 【会長】 大使は、昨年の下田での式典で語られました。  ロシアと日本は、多国間の枠組み、なかんずく国連などにおいて、ますます 重要な「創造的パートナー」である ── と。  こうしたロシアの信頼に、日本が誠実に応えていくべきだという声は多い。  この「創造的パートナー」の関係を深めるために、日本の若い人々に何を期 待されますか。 【大使】 日本の青年には、池田会長のご指導の通りに行動していただきたい。  池田会長は、人間と人間が心を結び合っていくことに重要性を見いだしてお られる。この考え方を見習ってほしいのです。  個々の人間関係と同じように、国と国という大きな関係も、人間の心がどう あるかに帰結します。  ゆえに、青年同士が頻繁(ひんぱん)に出会い、交流することが、相互理解 の一歩です。次代を担う人々が、尊敬と好意を分かち合うことが、未来の露日 関係をよくすることにつながります。 【会長】 私への過分な評価はともかく、ご意見に全く賛成です。  心と心を結ぶことです。青年と青年が結ぶことです。 【大使】 信念を持つことは大事です。しかし、青年には、相手がたとえ自分 と違う信念をもっていても、それを尊重する気持ちを育(はぐく)んでほしい と思います。  そのためにも、できるだけ多くの学生が往来し、自分の国とは違う文化、生 活様式に触れることです。  「自分の考え、自分の国だけが正しい」という考え方が育つところには、や がて摩擦や紛争が生じてしまうものです。 【会長】 正論です。日本もかつて、そういう思想で青年を教育し、失敗しま した。アジアを侵略し、蹂躙(じゅうりん)し、世界からの尊敬も信頼も失っ てしまいました。  大使、わが創価大学にはロシア語専攻があり、ロシアについて真剣に学ぶ、 大勢の学生がいます。  よき日を選んで、ぜひ創価大学で、ご講演をお願いいたします! 【大使】 池田会長からの提案ですので、必ずうかがいます。  私は、仕事を通じて、創価大学の卒業生たちとお会いし、深く尊敬している のです。  池田会長の、創立者としてのご活動に、心から敬意を表します。 ◆開かれた多国間の枠組みを           ◇   ── 次いでSGI会長は、「史上最良」と言われる中露関係の展望を、大 使に問うた。  昨年は中国の胡錦濤(こきんとう)主席がモスクワを訪れ、本年3月にはプ ーチン大統領が訪中。  中露の貿易額も急増し、年内に、政治・経済、技術などの協力関係を、25 0以上の項目にわたって結ぶと報じられている。  SGI会長が質問したのには理由がある。  SGI会長は32年前の1974年、中ソ対立のさなか、両国の首脳と相次 ぎ会談。コスイギン・ソ連首相の"ソ連は中国を攻めない"との言葉を中国側 に伝えるなど、民間人の立場で、中露の平和共存を願って行動してきたからで ある。  質問に対しロシュコフ大使は、首脳の相互訪問の実現という事実からも、今 後も中国との関係が発展していくことは明らかだと述べ、長い国境線で接する 両国にとって、良好な関係は不可欠であると強調した。  そのうえで大使は、「中露対日米」というように世界が再びブロック化して いくことに懸念を表明。  アジア・太平洋の国々は、多国間の枠組みのなかで、開かれた、かつ調和の とれた形で、全体として関係を強化していくべきである。たとえば北朝鮮をめ ぐる問題も、そのような枠組みの中にこそ、打開の道があるとの見解を述べた。           ◇ ◆自然は調和を目指している 【会長】 大使が、ご両親から教わったことで、深く心に残っていることはあ りますか。 【大使】 私の父は、位の高い軍人でした。ソビエト時代でしたので、父も母 も信仰を持つことはありませんでしたが、善を尊ぶ心、人を大切にする心など、 人間として生きていく上で大切なことをたくさん教えてくれました。  私も信仰を持っていませんが、自分が人生を生きる上で、これは大切だとい う「柱」をいくつか持っています。それは、信仰の世界とも共通点があると思 います。  私が信じていることは、こうです。  "自然は、一つの目的を持って存在しており、「調和」を目指している。ゆ えに、そこには法則性がある。  人間は、善良であること、極端な行動を慎むことといった、人間として尊ぶ べき一定の「道」を守っていけば、自然の摂理に合致して生きていける" 【会長】 素晴らしい哲学であり、論理の展開です。文学者の言葉、詩人の言 葉です。 【大使】 この信念は、一個人だけでなく、人間社会についても言えると考え ています。  なぜなら、人間の社会も自然の一部だからです。  人間社会が自然の法則に合致していけば価値が生まれますし、反対にその社 会に住む人々が悪い心に侵(おか)されて自然の法則に逆えば、そこから破壊 や破滅、災害、戦争が起こり、人々が苦しむことになる。  私たちは自然の法則を尊びながら、自滅の道を歩まないようにしなければい けない。自分だけでなく、他の人々に対しても、この考えを守っていくように しなければならないと思います。 【会長】 その通りです。  それが仏法なのです。 【大使】 そうですか。ならば、私は"仏教徒"ということになります(笑い)。 【会長】 大使は、アフガニスタンの言語である「パシュトゥー語」を専門に 学ばれていますが、学ぶきっかけは何だったのでしょう。 【大使】 外交官になることを目指して、モスクワ国立国際関係大学に入学し てから勧められたのです。当初は他の言語を学ぶつもりだったので、パシュト ゥー語を勉強することになるとは思ってませんでした。 ◆◆ 〔善良〕〔大らか〕〔家族思い〕      ── 友を尊ぶロシア人の美質      ── 芸術の國から来日! 9月「ロシア民族歌舞団」が民音公演 ◆もっと交流を! 【会長】 日本入の持っているロシア観で、これは誤解しているなと感じられ ることはありますか。 【大使】 日本の方がロシアを誤解していることもあれば、ロシア人が日本を 誤解していることもあるでしょう。  これは日本とロシアの間だから起こる問題ではありません。たとえば、ロシ ア人同士でも理解し合えず対立することがあります。日本の歴史にも、日本人 同士で争ったことはあったと思います。  どちらか一方の問題ではなく双方の問題であり、もっとお互いに知り合うた め、交流の場を増やしていくことが大切なことです。 【会長】 大使がロシアを紹介する場合、ロシアの人々の最も美しい気質を、 どうお話しされますか。 【大使】 ロシア人の優れた気質は、まず「ホスピタリティー」 ── 客人を 真心でもてなすことです。 そして、「友人思い」な点、「善良」な点です。  もう一つ、「おおらかさ」があります。これは裏返すと「細かいことに気が つかない」ということになる(笑い)。  それから「家族思い」であることが挙げられます。個人主義のヨーロッパに 比べると、ロシア人は家族思いです。この点は、日本人に近いのではないでし ょうか。  ロシアは、アジアとヨーロッパに挟まれた「ユーラシア国家」です。  東洋と西洋の思想が混じり合っていますから、東洋の考え方を理解するには、 ロシア人のほうがヨーロッパの人より有利だと思います。           ◇   ── 尽きぬ対話。いつしか2時間を超えた。           ◇ 【大使】 池田会長は、これまで6回、わが国を訪問されました。  ぜひ、7度目のロシアへいらしてください。  私たちにとって、「7」という数字は一番大事なのです。 【会長】 そうですか! じつは、私たちの信仰においても、「7」は大変意義 深い数なのです。  私たちが唱える「南無妙法蓮華経」は、7文字だからです。  ご厚情に感謝いたします。 【大使】 日本で仕事ができ、私は人生の幸運に恵まれたと思います。  日本の文化を肌で感じ、人々と会い、日本の考え方にふれ、このように池田 会長と個人的な友情を結ぶことができたのですから。  これまで多くの国で仕事をしましたが、日本での日々は、ひときわ深い思い 出となるでしょう。 【会長】 うれしいお言葉です。きょうの語らいは貴国を理解する推進力にな ると信じます。            ◇   ── この地球上には、異なる人、異なる文化、異なる国がある。  だからこそ、互いを尊敬し、人間を結べ!  戦争から平和へと、歴史を転換するために。  SGI会長と大使は、がっちりと握手し、再会を約し合った。  大使は、芳名録に記した。  「真心に感謝します。感銘深い対話に感謝します。池田会長のご健康とご長 寿、そして日本国民と世界の民衆のために、実り多き、さらなるご活躍を祈っ ています」