2006.5.31SP ――――――――――――――――――――――――――――――――――  SGI会長 タゴール国際大学一行と語らい ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◆≪SGI会長≫ 詩人の心は青年と友に 若き友が新しい世界を ◆≪バスー副総長≫ 型にはめる教育を嫌ったタゴール「ならば自分が模範に」 ◆≪ボンドポディア教授≫ 「創立者の夢を実現!」 ── それが我ら教授陣の 夢!           ◇ ◇  池田SGI会長は29日午後、インドの「国立タゴール国際大学」(ヴィシ ュヴァ・バーラティ大学)のバスー副総長一行を東京・千駄ケ谷の創価国際友 好会館に迎え、語らいのひとときを。 同大学のボンドポディア教授、スバシュリ副総長夫人、サルカール教務部長、 インドのマンダル臨時代理大使らが同席した。           ◇ ◇  鮮やかな金色のショールが映えるバスー副総長に、池田SGI会長が歩み寄 った。  「ナマステ(こんにちは)! お会いでき、うれしいです。心から感謝します」  固く握手を交わし、一行は会場へ。窓の外には、青空と庭園の緑がまぶしく 輝いている。 【池田SGl会長】 副総長一行を、私たちの最大の感謝と、誇りと、名誉を もってお迎えします。  マンダル臨時代理大使もご多忙のところ、ありがとうございます!   ── SGI会長は、同席しているブラジル、フランス、タイ、インドのS GIの友らを紹介。 【バスー副総長】 この場所に来て、私は本当に満足しています。池田会長に 学位を授与させていただくことは、実は、私どもに会長の名誉を頂戴すること なのです。 【会長】 このご厚恩は一生忘れません。 【副総長】 池田会長には、わが大学にぜひいらしていただきたい。いつでも 結構です。お待ちしています。 【会長】 寛大なお心に感謝します。  また来日早々、創価大学にお越しいただき、ありがとうございます。  昨年4月には貴大学で、アメリカのモアハウス大学キング国際チャペルの主 催による「ガンジー・キング・イケダ ── 平和建設の遺産」展を開催してい ただきました。  今年の2月には、インドで語学研修中の創価大学生による交流団が、貴大学 を訪問しました。  貴大学の教員、学生の皆さんが、最大の真心で迎えてくださった模様を、創 大生たちは感動しながら報告しておりました。創立者として深く御礼申し上げ ます。 ◆タゴール自ら蔵書を選定   ── 国立タゴール国際大学の淵源は、1901年にタゴールが始めた学園 にさかのぼる。  大学名である「ヴィシュヴァ・バーラティ」の「ヴィシュヴァ」には「森羅 万象」、「バーラティ」には「学問と文化の中心地」という意味がある。  大学の図書館の蔵書は、設立当初、タゴールが自ら選定にあたった。  求める書物がない場合には、専門家に執筆を依頼して出版し、蔵書を充実さ せていった。  ここでは、ガンジーの高弟であるラマチャンドラン博士やパンディ博士、イ ンディラ・ガンジー元首相、アジア人で初めてノーベル経済学賞を受賞したア マルティア・セン博士などが向学(こうがく)の日々を送っている。 ◆全世界が一つに 【会長】 愛するタゴールが設立した貴大学は、アジアを代表する名門であり、 私の憧れです。  キャンパスは西ベンガル州のシャンティニケタンにあり、近郊のシュリニケ タンには、農村再建部があるのですね。 【副総長】 そうです。シャンティニケタンとは、「平和の世界」という意味 です。 【会長】 貴大学のモットーは、「全世界がひとつの巣に住むところ」。素晴 らしい言葉です! 【副総長】 ありがとうございます。 ◆母と子の勝利   ── バスー副総長は、1946年生まれの59歳。著名な統計学者である。  インド経営大学の評議員、インド工科大学の理事職などを歴任。大学経営と 教授職を両立させ、学術の向上に努めてきた。  1986年には、インド政府が採択した新教育政策の起草(きそう)にも携 (たずさ)わる。  2001年6月、タゴール国際大学の副総長に就任。同大学の「20年計画 策定プロジェクト」を推進するなど、発展への新たなビジョンを打ち出してき た。  西ベンガル科学技術アカデミーの特別研究員、オランダの国際統計学研究所 会員、アメリカ、カナダ、日本の大学でも客員教授を務めてきた。  韓国の慶煕(キョンヒ)大学、インド科学ニュース協会などから顕彰を受け ている。 【会長】 副総長は、幼くしてお父さまを亡くされた。お母さまは26歳の時 から、女手一つでお子さま方を立派に育てられました。  お母さまは現在、82歳。ご健在であられるとうかがっています。  今日の副総長のご活躍を、お母さまは、どれほど喜んでおられるか。  副総長とお会いして、偉大な母の勝利の姿を、深く実感しております。  どうか、崇高なお母さまに、くれぐれもよろしくお伝えください。   ── 会場からは大きな拍手が。副総長は「心から感謝します。しっかりと 伝えます」と深い感謝を述べた。 ◆三代にわたって   ── 語らいには、タゴール文学・絵画研究の権威であるボンドポディア教 授も同席。日本でも教授の著作『タゴールの絵について』が出版されている。 【会長】 ボンドポディア教授の祖父君(そふぎみ)は、タゴールのもと、シ ャンティニケタンで教鞭(きょうべん)をとられました。また、お父さまも貴 大学で学ばれた。教授ご自身も、タゴールに直接会っておられます。  まさに三代にわたってタゴールの精神を継承し、体現してこられた偉大なご 一家です。  また、教授が貴大学の日本学院の院長として両国の友好に尽力され、貢献さ れたことも偉大な歴史です。 【ボンドポディア教授】 ありがとうございます。   ── 来日した折、教授は語っていた。  「わが大学は、決して財政的に恵まれた環境ではありませんでした。しかし、 大学に集う同志たちには夢がありました。それは、タゴールの夢を実現するこ とです。私の祖父も、父も、そして私もそうです。  『夢』は、手に取ることはできません。しかし、人々がそれを心に抱いてい けば、必ず実現することができると信じます」 ◆価値を生む人生   ── 語らいでは、副総長夫妻がこよなく愛するタゴールの音楽や、SGI 会長が青春時代から親しんだタゴールの思想も話題に。 【会長】 タゴールは、現実の苦しみを目にして、黙っていることのできない 人でした。  ゆえに、民衆の団結を破壊する動きには厳しかった。  「内部から引き起こされる分裂は罪悪なのです」と述べています(蛯原徳夫 訳「議長あいさつ」、『タゴール著作集第8巻』所収、第三文明社)。  彼はまた、「真に勇敢な人は威を張る必要がない」と記しています(蝋山芳 郎訳「ナショナリズム」、同)。  さらに、「強い苦しみはわれわれを知恵にみちびく」とも綴っています(蛯 原徳夫訳「瞑想録」、『タゴール著作集第7巻』所収、同)。  いい言葉です。 【副総長】 きょう池田会長にお会いできて、私は会長から勇気をいただきま した。  今まで私は、できる限りの仕事をやろうと心がけてきました。  2001年までは、国立タゴール国際大学とは無関係の立場にいました。  以前、インドの経営学の世界では最高の権威を有する大学で、教授職を務め ていたこともありました。  しかし、シャンティニケタンに来て、学べば学ぶほど、タゴールについて知 れば知るほど、私は驚嘆しました。  この仕事は、私にとって、本当に深い意味を持つ体験となっています。 【会長】 真摯なお話に、深い感銘を受けました。  タゴールは次のようにも綴っています。  「最小限の時間で最大量の仕事をできる人は、成功します」(森本達雄訳「協 調」、『タゴール著作集第8巻』所収、同)  「地球上には二つの型の人種がある。生気が有るのと無いのとである」と(サ ンディブ・タゴール、稲津紀三訳「日本の旅」、『タゴールと日本』所収、タ ゴール記念会)。  人生においては、「どれだけ時間があるか」よりも、「どれだけ多くの価値 を生み出すか」が重要ではないでしょうか。 ◆新しい教育を 【副総長】 その通りだと思います。  タゴールがシャンティニケタンに住み始めたのは40歳からです。それまで も訪れていましたが、40歳から、この地で教育変革の努力を始めました。  彼は、型にはめこむような教育を嫌っていました。  当時の既存の教育機関で教育を受けることに、嫌悪感を覚えていたのです。  ですからタゴールは、自分自身が考える模範の教育を行おうとしました。そ して、その試みが、現在の大学の前身となったのです。  タゴールは、病院ではなく、コルカタの生家でその生涯の幕を閉じました。 【会長】 彼は「人は偉大な人を見ることで、自分自身も偉大であることを知 る」(蛯原徳夫訳「瞑想録」、『タゴール著作集第7巻』所収、第三文明社) と記しています。  まさにタゴールは、彼自身の生きる姿によって、見事な教育を行いました。  我々もまた、タゴールの理想に続きたい。   ── 尽きぬ語らい。  大学一行への贈り物である創価大学のバインダーを手に、副総長は「このバ インダーをいただいたということは、私も創大の教員の仲間ですね」 と笑顔で。「もちろん!」と応じるSGI会長。  副総長夫人に対しては、SGI会長夫人から「ぜひ、お母さまに」と、「母」 の曲のオルゴールが手渡された。 ◆大いなる理想を受け継げ!  前日(28日)に創大を訪れた後、バスー副総長は語っていた。  「ある理念が人々の生命に刻まれるのは、時間のかかることかもしれません。  しかし、それが継承されていくことで、理念が盤石な基盤となるのです」  大いなる理想を、人から人へと継承し、発展させていく地道な仕事。  この「教育」という難事業に取り組む情熱は、国境を超えて響き合う。  タゴールは訴えた。  「私の心は若者と共に住んでいること、そして次から次へと人間の世界に新 しい希望をもたらすことを若者たちに感謝している」(北?吉訳『古の道タゴー ル講演集』プラトン社。現代表記に改めた)  SGI会長は、この言葉に触れて、「青年こそ希望 ── そこに一切の焦点 があります」と。  青年のために、わが人生を捧げよう! ── インドと日本の「教育者の魂」 は、ともに未来へ向かって歩み始めた。