2006.6.7SP ――――――――――――――――――――――――――――――――――  南イリノイ大学カーボンデール校名誉人文学博士号授与式での名誉会長の謝 辞 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◆◆ 平和へ! 人材の金字塔を  世界へ! 対話、対話の波を ◆◆◆ 学び続ける人は幸福    ── 牧口先生とデューイ博士  成長することが生命の本質 ◆◆ 青年よ〔希望〕〔勇気〕〔誠実〕で勝て 【SGI会長の謝辞】  一、Winter is over. Spring has come. The sun is shining brihtly!  〈冬は去り、春はめぐり来て、太陽は輝く〉  きょうは、教育の光に包まれて、遠くアメリカから、大切な先生方をお迎え することができました。本当に、ありがとうございます!(大拍手)  また、アメリカ創価大学の代表も、そして、創価大学、女子短期大学の学生 の代表も参加してくださいました。  きょうの栄誉を、若き皆さん方と一緒に拝受できたことが、私は、何よりも、 うれしいのです。  すべては、後継の皆さんに流れ通っていく栄光です。そしてまた、皆さん方 が、将来、立派に成長して、あらゆる大学から「名誉学位」を受けていく因を 刻んでいることを知ってください(大拍手)。 ◆牧口先生と戸田先生の喜ぶ顔が  一、「惑星は、太陽系のなかで、運行する。     太陽系は、銀河系のなかで、運行する」  「人間の精神も、他者との交流のなかでこそ、成長できる」(『倫理学』所 収「道徳と社会問題」から)  これは、世界的に偉大な教育者であり、大哲学者であったデューイ博士の洞 察です。  本日の式典は、アメリカから最高峰の知性をお迎えし、教育で結ばれた素晴 らしい人間交流の平和の歴史となりました。  きょうの儀式を一番、喜んでくださっているのは、だれか。  それは、デューイ哲学に早くから注目した大教育者、牧口常三郎初代会長で あると、私は深く確信するものですが、皆さん、いかがでしょうか(大拍手)。  牧口先生も、その弟子である戸田先生も、デューイ博士のことを、最大に尊 敬していました。  まさに、牧口先生の135回目の生誕記念日に、世界随一のデューイ研究セ ンターを擁(よう)する貴・南イリノイ大学力ーボンデール校から、私は、栄 えある「名誉人文学博士号」を拝受いたしました。  両先生の喜ぶ顔が、目に浮かんでまいります。私は、感涙を禁じ得ないので あります。 ◆万人に開かれた民衆の大学  一、心より尊敬するウオルター・ウェンドラー総長、デューイ研究センター のラリー・ヒックマン所長。そして、アメリカ・ソロー協会のロナルド・ボス コ前会長。  ならびに、ご臨席くださった皆さま方。  改めて、厚く厚く、御礼を申し上げます(大拍手)。  貴大学は、1869年の創立の当初から、時代の先駆を切って多様性を尊重 してこられました。  地域に開かれ、万人に開かれた教育を推進してきた誇り高き「民衆の大学」 であられます。  その建学(けんがく)の途上における、貴大学の先生方の苦闘は、まさしく 「不可能を可能にした大偉業」として、世界的に讃嘆され、驚嘆されているの です。  そして、その崇高な伝統と学風を継承し、110カ国を超す、向学(こうが く)の学生たちが学びゆく、世界的な貴大学を厳然とリードしておられるのが、 ここにお越しくださったウェンドラー総長であります(大拍手)。  ウェンドラー総長の雄渾(ゆうこん)の名指揮のもと、今、貴大学は、創立 150周年の大佳節へ、学生第一主義の理念と遠大なビジョンを掲げ、悠然と 前進しておられます。  貴大学が立つ天地は、その肥沃(ひよく)な地域性から、「小エジプト」と 愛称されてきました。  エジプトとは、人類の創造力の象徴といってよいでしょう。  きょうよりは、私も誉れある貴大学の一員として、卓越した建築学者であら れる総長とご一緒に、「教育の世紀」に輝く偉大な人材のピラミッドの大建設 に参加させていただく決心です(大拍手)。 ◆学生こそ宝!  一、先ほども申し上げましたが、この会場には、私が、未来を託しゆく、ア メリカ創価大学の代表も集ってくれました。本当に、よく来てくれました。  一人ひとりが、私の生命です。私の宝です。  私の未来の希望です。  その思いで、私は、皆さん方一人ひとりを、どこまでも見守っています。  教員の皆さまも、学生第一の精神で尽くし抜いていってください。  教員だからといって威張る時代ではない。教員と学生は、ともに学問を探究 しゆく同志といってもいい。  たとえ自分が犠牲になっても、後継の学生たちを立派に育て上げていく。そ れが「創価教育」であり、牧口先生、戸田先生の実践でした。  そして、時には、「お腹はへってないですか」「何か困っていることはあり ませんか」等々、温かい言葉をかけて、大きな心で包んであげてほしいのです。  あの時、あのキャンパスで、あの先生に、優しく声をかけてもらった、励ま してもらった ── そのように学生たちの心に焼き付くような劇のごとき思い 出をつくっていってください。よろしくお願いします(大拍手)。  一、敬愛してやまない大哲学者であられるヒックマン所長とも、このように、 5年ぶりに再会することができ、本当にうれしい。  ヒックマン所長は、デューイ博士と牧口先生の教育哲学の共通点を、まこと に明晰(めいせき)に、また深く論じてくださっています。  その一つに、"人間と社会を成長へ導くための教育"という理念があります。  デューイ博士も、牧口先生も「成長することこそ、生命の特質である」と考 察しておりました。  ゆえに人間は、学ぶことによって、自分自身の生命を開花させ、一生涯、成 長していける。その成長の持続にこそ、幸福の内実があると教えたのです。  前進をやめれば後退です。成長を止めれば、幸福になれません。  その成長を手助けしていくのが教育です。教育の目的は、一人ひとりの人間 の幸福にあるのです。  創価大学の教員の皆さんは、この思想を受け継ぎ、それぞれの立場で実践し 抜いてください。 ◆成長を止めるな  一、デューイ博士と牧口先生は、とくに、高い地位についた人間たちが成長 を止めてしまうことを慨嘆(がいたん)していました。  成長を止めた人間は、心の転落が始まる。慢心に陥り、人を見下し、威張る ようになる。いくら地位が高くても、そうなってしまった人の境涯は低劣です。  権力を握ると、その毒気に狂わされて、精神が鈍り、傲慢になり、貪欲にな り、我見になってしまう。そういう人間に教育をまかせると、社会に重大な問 題が生じる。  デューイ博士と牧口先生の洞察は、現代の日本にとっても重要な意義を持っ ています。  だからこそお二人は、「権力は毒薬である」「権力は魔性である」と痛烈に 呵責(かしゃく)していかれたのです。これこそ、本当の教育者の姿です。  傲(おご)り高ぶって孤立し、自分を支えてくれた他者への感謝の心を失っ てしまえば、そこにはもはや、向上はありません。人間性も消えてしまいます。  「忘恩」から、一切の暗い暗い堕落の道が始まる。それが人生と社会と歴史 の法則です。私たち創価教育の同志は、この"堕落の世界"と戦ってまいりた い。  反対に、無名であっても、貧しくとも、真剣に誠実に、学び戦うならば、試 練も力に変え、より良く成長し、人々に立派に貢献できる大人材となっていく。  これこそが、最も正しい生命の道であります。  デューイ博士も、牧口先生も指摘なされたように、大事なことは、これまで どうだったかではない。過去ではない。  過去の功績というのは、一次元からいえば、燃えた後の"灰"のようなもの です。過去の功績にあぐらをかくのは、日本人の悪い癖です。  「今、この時に、学んでいるのか、どうか」  「今、この時から、成長していくのか、どうか」  その一点を、つねに自分自身に問い続けながら、自分も成長し、後輩が成長 する手助けもしていくのです。  それは、仏法に説く「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」とい う意義に通じます。 ◆◆ 権力の魔性と戦え! ◆≪エマソン≫ 不正への感覚が鈍るのは知性が浅はかな証拠 ◆青年と共に学べ  一、現代社会の行き詰まりの根本要因は、どこにあるか。  私が、トインビー博士をはじめ多くの識者と論じあい、深く一致した一点が あります。  それは、世の指導層が傲慢になり、学ぶことをやめて、自らの「人間革命」 を放棄してしまったところに、社会の停滞の元凶があるという点でありました。  学び続けているか。それとも学ぶことをやめてしまったか ── この一点が、 その人が本当に偉い人物か、それとも偽物かを分かつポイントです。  傲慢な指導者のもとでは、これからの青年、これから学ぶ若者たちが、かわ いそうです。  その打開のためには、「青年とともに学ぶ」ことです。  例えば大学の教員も、学生を上から見おろすようであってはならない。どん な学生も立派に育てていく ── これが教員の責任です。  こうした思いに立って、学生を励ましていただきたい。  学生を愛せないようでは、教育者として失格です。青年と一緒に、人生を打 開していこう。前へ前へと進もう ── そういう人間性が光る教員であってい ただきたい。  そして、広く世界へ打って出て、生き生きと、「対話」「対話」の波を広げ ていくことです。そうであってこそ、新たな勝利の歴史を開くことができる。  さらに、民衆のため、社会のため、未来のため、後輩のために、勇敢なる行 動を貫いていくことです。  この「学び」と「対話」と「行動」の道こそ、デューイ博士と牧口先生が圧 迫や迫害にも屈せず、明確に示してくださった、平和への正道です。  中国をこよなく愛したデューイ博士は、北京大学の哲学講義で訴えました。  青年よ、学び抜け! 新しい希望と勇気と誠実をもって、新しい社会の繁栄を 築きゆけ! ── と(永野芳夫訳・大浦猛編『デューイ : 倫理・社会・教育  北京大学哲学講義』飯塚書房を参照)。  北京大学といえば、私も講演を行った懐かしい場所です。学生たちが真剣な 眼差しで、講演に耳を傾けてくれました。  同大学から名誉教授の称号を授与していただいたことも、忘れられません。 ◆教育の勝利が人類の勝利!  一、私は、ここにおられるソロー協会のボスコ前会長と有意義な対話を重ね、 うれしくも、対談集が発刊される運びとなっております(大拍手)。  世界的に著名な大学者であられる博士と、私は、アメリカ・ルネサンスの思 想に光を当ててきました。  アメリカ・ルネサンスの新風を巻き起こし、後世の人々に大きな力を与えた、 19世紀の哲人エマソンは、こう警鐘(けいしょう)を鳴らしております。  「不正に対する感覚が鈍ること ── それは、知性が浅はかな証拠である」  正義の心は、深き知性と一体であります。また、正義の心があってこそ、本 当の知性です。  時代は、ますます「正と邪」「善と悪」が入り乱れている。  だからこそ、エマソンのごとく、デューイ博士のごとく、牧口先生のごとく、 恐れなく、正義の声を断固として上げていかなければならない。私は、その先 頭に立って戦っております。  貴大学が、その名に冠する「イリノイ」という地名の語源には、一説には「優 れた人」との意義があるともうかがっております。  敬愛してやまぬ貴大学から、最優秀の逸材が、これからも限りなくアメリカ に、全世界に巣立ちゆかれることを、私は心から願い、お祈り申し上げます。  デューイ博士は喝破しました。  「教育が進歩しなければ社会もまた進歩し得ない」(前掲『デューイ :倫理・ 社会・教育 北京大学哲学講義』)  大変に重要な言葉です。  また、牧口先生は叫びました。  "教育の勝利こそ、人類の永遠の勝利である"と。  この大いなる教育の進歩と勝利の大道を、共々に晴れ晴れと前進しゆくこと を誓い合って、私の謝辞といたします。  サンキュー・ベリー・マッチ!(大拍手)