2006.6.12SP ――――――――――――――――――――――――――――――――――  創価教育代表協議会での創立者のスピーチ ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◆◆ 師弟の心燃える人は勝利! ◆◆ 未来の発展の土台を今        ── 〔タゴール〕 塔が高いほど基礎は広く! 【創立者のスピーチ】  一、きょうは、ご苦労さま!  人間をつくる。  後輩を伸ばす。  青年を鍛える。  そこにしか、新しい希望は生まれない。  たくさんの若き友を、励まし、育てゆく皆さまの使命は、重大である。その 栄光は、三世永遠に光り輝く。  私は恩師・戸田先生のもとで10年間、毎朝のように、万般の学問を打ち込 んでいただいた。  それだけではない。折に触れて教えていただいた人間学、指導者論は、数知 れない。  たとえば、真心こめた一本の電話、一つの伝言の大切さ。思いがけず、かけ られた、温かいねぎらいや励ましの言葉が、どれほどうれしいか。  これが一流の人物の外交戦なのだよと先生は教えてくださった。  一面から言えば、先生ほど口やかましい人はいなかった。お茶のいただき方 など、基本の礼儀にいたるまで、一人ひとりの青年を徹底して訓練してくださ ったのである。  すべて、未来に向かっての平和と文化の大闘争のためであった。  この偉大なる師匠ありて、今の私がある。 ◆◆◆ 創価教育は「世界の光」 ◆◆ 慈愛と情熱で人材を育てよ ◆≪タゴール≫ 学校は師弟の合同事業で完成 ◆深き愛情を胸に  一、先日、"精神の大国"インド随一の英知の城である「国立タゴール国際 大学(ヴィシュヴァ・バーラティ大学)」の先生方をお迎えした。〈5月29 日、同大学から池田名誉会長に「名誉文学博士号」が授与された〉  創立者タゴールは語っていた。   ── この大学は、学生のものである。師匠と弟子の合同事業、学生と学生 との協同作業によって完成されるものである、と。  大いなる理想を目指して労苦を惜しまぬ、師弟の絆、学友の絆それ自体に大 学があるというのである。  創価大学の掲げる「学生参加」「学生第一」の理念と、深く通じるものがあ る。  1901年、シャンティニケタンの地に学園を創立してから、タゴールは、 最愛の妻と愛娘、敬愛する父、そして息子を相次いで失った。そうした悲しみ にも耐え、タゴールは学園建設に尽力していった。  タゴールは深い愛情をもって、学園生を育成していったのである。それは、 学生たちに、そのまま伝わっていった。  タゴールは、うれしそうに振り返っていた。   ── 学生たちも、母校に対して切なる愛情を持つようになった。  卒業した後も、機会の許す限り、母校を訪ねてくれるようになったのである、 と。  創価大学、創価学園にも、卒業生が、わが家に帰るがごとく舞い戻ってきて くれる。  創価同窓の友が、母校を愛し、母校を誇りとして社会で活躍し、後輩たちの 道を開いている様子も、毎日のようにうかがっている。  "自身の勝利の姿で、母校の発展に貢献したい" ── 多くの卒業生が、こ うした心意気で奮闘してくださっている。そして折あるごとに、活躍の様子を 報告してくださる。  私は、その「心」がうれしい。  青春の誓いに生き抜く人は、必ずや最高の勝利の人生を歩んでいける。多く の卒業生が、このことを見事に証明してくださっている。  〈タゴールの言葉は北?吉訳『古の道』プラトン社を参照した〉 ◆「建学の同志」  一、タゴールは訴えていた。  「大学は学生と教授が打って一丸となり、働く解放の家であってほしい。真 理に対する共通の熱望と共に、修養の喜悦を分って、麗しい徳性を養うために、 彼等は完全な生活に生きねばならない。  かくして、始めて大学は創造的な人を生む雰囲気を作るであろう」(井上秀 「詩聖タゴール翁の思い出」、日本放送協会編『人生読本2』所収、春陽堂書 店)  ともに真理を求める。ともに建学の理想を実現する。その道において、教授 と学生は「同志」となり、「一丸」となるべきである。  ここに、タゴール国際大学が、インド最高峰の学府へと発展していった一つ の原動力がある。わが創大も、また、そうあっていただきたい。 ◆弟子への書簡 一、タゴールの学園において、創立者と学生、そして教員が、どれほど深い連 帯で結ばれていたか。 以前、インドで活躍される加賀谷(かがや)忠夫氏から、まことに貴重なタゴ ールの直筆書簡を贈っていただいた。大切な宝として、保管させていただいて いる。  この書簡は、創立当初のタゴールの学園に学んだ5人の学生の一人、ハリハ ラン氏にあてられたものである。  ハリハラン氏は、学園を卒業後、母校で教員を務めるとともに、師タゴール と一緒にインド独立運動に戦った人物である。  書簡は、弟子のハリハラン氏を学園の教員として歓迎するもの(1923年 10月)など3点であり、氏と親交の深い加賀谷氏が、友情の証として譲り受 けたものである。  そこには、「あなた(ハリハラン氏)の奉仕と献身は、私たちの学園に対す る最も価値ある贈り物となることでしょう」との師タゴールの贅讃が綴られて いる。  今、創価大学、創価学園においても、同窓生が教職員となって母校に戻り、 「第2の草創期」の建設に取り組んでくださっている。皆が一丸となっての尊 き献身に、心から感謝申し上げたい(大拍手)。  一、今回、来日されたタゴール国際大学のボンドポディア教授も、同大学の 卒業生である。  著名なタゴール研究者であり、母校に舞い戻って、長年、教鞭を執ってこら れた大学者である。  ボンドポディア教授の祖父君もまた、タゴールの学園で教員を務め、父君も 同大学で学ばれた。教授自身も、タゴールと直接、お会いしておられる。  〈「名誉文学博士号」授与式の前日、創価大学を訪れたボンドポディア教授 は、タゴールと池田名誉会長の共通点に論及。  ?教育への情熱  ?民衆への慈悲  ?卓越した国際性 ── の3点を挙げ、「これこそ、調和に満ちた世界の構築への重要な礎です」 と語った〉 ◆日本の漁師がばんざい「タゴール万歳」  一、加賀谷氏がハリハラン氏から直接、聞かれた麗しいエピソードがある。  東洋人として初のノーベル文学賞を受賞(1913年)したタゴールが、日 本へと船で向かっていた洋上での出来事である。  タゴールを乗せた客船が、たまたま日本の漁船とすれ違った。そのとき、漁 船から、「そちらの船に、タゴールは乗っていますか」との打電があった。  それを聞いたタゴールは甲板に姿を現した。  すると鉢巻き姿の日本の漁師たちが甲板に立ち、「タゴール、万歳!」と叫 んでくれたのである。  タゴールは心から感銘した。そして後々まで、ハリハラン氏たちに、この時 の驚きと喜びを、涙を浮かべて語ったというのである。  インドの詩聖と日本の海の男たちとの名画のような交流の光景が、目に浮か んでくる。  民衆との心の交流に勝るものはない。  次元は異なるが、わが創価の同志にもまた、海を舞台に活躍する波涛会(は とうかい)や、農漁村部(東北は漁光〔ぎょこう〕部)の方々がおられる。  尊き友の使命の航路の無事安穏を祈るとともに、文豪ユゴーの言葉を謹んで 贈りたい。  「逆境にぶつかっても笑顔を見せる、というのが海で指揮をとるものの常な のだ」(榊原晃三訳『九十三年』潮出版社)  私は、全同志を代表して、タゴール国際大学の名誉学位を拝受させていただ いた。  あの漁師たちのごとく深き友誼(ゆうぎ)の心を込めて「タゴール、万歳! タゴール国際大学、万歳!インド、万歳!」と申し上げたい(大拍手)。 ◆ますます発展する創価大学  一、「塔が高ければ高いほど、基礎は広くなければなりません」(蛯原徳夫 訳「議長あいさつ」、『タゴール著作集第8巻』所収、第三文明社)。  これも、タゴールの至言である。  創立35周年を迎えた創価大学では、「新総合体育館」「創大門」を建設。 さらに「新総合教育棟」の完成予想図も発表された。  世界に輝く理想の学府へ、いよいよ本格的な建設が始まった。大いなる発展 の基盤を、さらに盤石に固めてまいりたい。  うれしいことに、このたび創価大学工学部情報システム工学科の研究が、文 部科学省の推進事業に採択された。  〈「私立大学学術研究高度化推進事業」の社会連携研究推進事業として採択 された〉  今年度、採択された12大学の一つに選ばれたのである。  この研究には、渡辺一弘教授をリーダーとして、11人の先生方が参加され ている。企業などと連携し、技術の構築と製品開発にあたるとうかがった。  なお一昨年には、生命情報工学科の西原祥子教授の研究が、同事業の「ハイ テク・リサーチ・センター整備事業」に採択された。  また、環境共生工学科の戸田龍樹教授の研究も、同事業の「産学連携研究推 進事業」に採択されている。  これで、工学部の3学科すべてで、文科省の支援を受けた研究を進めている ことになる。  さらに、この4月には、教育学部の関田一彦教授が推進されている研究が、 文部科学省の「大学教育の国際化推進プログラム」に採択されている。  先生方の見事なる取り組みに対し、創立者として、この席をお借りして、心 から感謝申し上げたい(大拍手)。 ◆民衆の力強める英知の大城を  一、ブラジルの天文学者であるモウラン博士は、創価学園を訪れた際の印象 を、次のように述べておられる。  「先生方と生徒たちのレベルの高さに驚きました。  先生方はやさしく、平等、人間主義、生命の尊厳のための教育という、はっ きりした哲学を持っていらっしゃいました。  また、生徒たちとの懇談も、大変に印象的でした。生徒たちは生き生きとし ていて、質問の内容も高度で、その成熟した姿に感心しました。  私たちが現在暮らしている、この暗い世界に一筋の金色の光を見たようで、 希望を感じました」  私は、牧口先生、戸田先生の志を継いで、創価教育の大道を切り開いてきた。  創価学園は今、日本を代表する名門校との評価もいただいている。世界の一 流の識者が、数多く訪れている。牧口先生、戸田先生も、どれほど喜んでおら れるだろうか。  またモウラン博士は、アメリカ創価大学への期待を、こう語ってくださった。  「アメリカ創価大学は、世界に開かれた、リベラルな学問の揺藍(ようらん) になると思います。『一日の始まりを告げる朝日』のように開かれた大学です。  知識と知恵と慈愛が、人類のために結合し、組み合わされた、新しい教育の 光です」と。  ありがたい期待と激励の言葉である。  タゴールは、「無気力と無知は人間にとって最悪の屈従の形態である」と綴 っている(三浦徳弘訳「詩人の学校」、『タゴール著作集第9巻』所収、第三 文明社)。  創価教育に携わる皆さま方には、無知の闇を晴らし、民衆の力を強くしゆく 「英知の大城」を築いていただきたい。  少子化の時代である。だからこそ、最高の智慧を発揮し、未来の勝利を先取 りすることだ。すべての教職員が団結して、教育の向上に努力してほしい。  そして、人類に希望を贈る「人材の大城」を、堂々と、つくり上げていただ きたい(大拍手)。                     (2006・6・4)